1巻を読む限り、はっきりとした答えは提示されていません。
しかし、いくつかの描写から「違和感」が残る構成になっています。
本記事では、1巻の内容をもとに犯人の可能性と伏線を整理しつつ、
作品全体に仕掛けられた“ある作戦”についても考察していきます。
『タイカの理性』1巻のあらすじ(ネタバレ控えめ)
主人公は女子高生の亜緒と、そのペットであるピットブルのタイカ。
ある日、亜緒が家に帰ると父親が亡くなっており、その側にはタイカがいました。
タイカが父親を殺したと思った亜緒はタイカを守るために父親の死体を誰にも見つからないように遺棄します。
父親が見つからないまま1ヶ月が経過。
誰にも疑われないまま平穏に過ごせると思いきや、ある日突然タイカがヒト化していました。
少子化対策の一環で「ペットのヒト化」が当たり前になった世界。
亜緒とタイカは強烈な秘密を共有しながら学校生活を送ることになります。
ここまでが極力ネタバレを避けた1巻の範囲でのあらすじです。
本作の舞台は人間とヒト化したペットが共存している世界です。
ヒト化したペットの中には猫がヒト化したキャットマンなどもいるようですが、便宜上この記事ではヒト化したペットをすべて「ドッグマン」と呼ぶことにします。
1巻の段階では、ヒト化した主要人物は犬しか登場しないため問題ないと思います。
犯人は誰なのか?
1巻を読んだ限り浮かぶ疑問はこの3つではないでしょうか?
- タイカが本当に殺したのか?
- 亜緒の思い込み
- 第三者の存在
タイカが犯人である可能性は、一見もっとも自然に見えます。
しかし1巻の構成を見ると、「あまりにも分かりやすすぎる配置」になっているのも事実です。
ミステリー作品において、最初に疑われる存在がそのまま犯人になるケースは少なく、
読者の視線を誘導する“ミスリード”として配置されている可能性も考えられます。
亜緒の思い込みもあまりに分かりやすいので、違う様に感じます。
第三者の存在が一番可能性が高く、また2巻以降もタイカ以外のドッグマンやクロウマン、同じドッグマンでも違う名称が登場したりと多岐に渡っている事から犯人候補はどんどん出てくるはずです。
板垣巴留作品の「合わせ技」が起きている
板垣巴留先生はこれまで、
獣人しか登場しない『BEASTARS』
人しか登場しない『SANDA』
という2つの方向性の作品を描いてきました。
そして今回はその両方を合わせ持つような「獣人と人が共存する世界」を『タイカの理性』で描いています。
ではなぜ、板垣巴留先生は過去作の要素を合わせ持つような作品を描いたのでしょうか。
それが本記事の冒頭で書いた“作戦”に繋がります。
板垣巴留先生の作戦=話題性『タイカの理性』1巻の表紙に写る亜緒とタイカを見て、こう思いませんでしたか?
「BEASTARSとSANDAみたいなのが始まった」
実際に読み進めていくと、
『SANDA』のような少子化に触れた設定
『BEASTARS』のようなドッグマンの存在
この2つが同時に盛り込まれています。
つまり本作には、SNSでつい語りたくなるような「過去作品を彷彿とさせる設定」が意識的に散りばめられているように感じます。
それを意識して読むと気づきが多く、例えば1話冒頭で亜緒とぶつかったドッグマンは、どこか『BEASTARS』に出てきたジャックに似ているようにも見えました。
さらに読み進めていくと、「もしかしてBEASTARSの世界になる前の前日譚なのでは?」とすら思えてきます。
まとめ
このように『タイカの理性』は、つい人に話したくなったり、SNSで書きたくなったりする話題性を強く意識して作られているように思えます。
もちろん、これが本当に板垣巴留先生の狙いなのかは分かりません。
犯人が明確に描かれていないからこそ、読者は考察したくなる。
この“余白”こそが、『タイカの理性』の大きな魅力であり、
作者の仕掛けた作戦の一部なのかもしれません。
この視点を持って読むと『タイカの理性』がより面白く読めるのではないでしょうか。


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