ソシャゲ編がついに大きな山場を迎える
トリリオンゲーム5巻では、トリリオンゲーム社が開発するソーシャルゲーム「プチプチランド」がついに正式サービスを開始する。
しかし、その前には株価操作や資金調達、ライバル企業との駆け引きなど数々の問題が待ち受けていた。
この巻を読んで特に感じたのは、ソシャゲ業界の裏側がとてもリアルに描かれていることだ。
ゲームを作るだけではなく、資金集めや宣伝、人材確保まで含めてビジネスとして描かれているからこそ面白い。
ハルの先読みが相変わらず凄い
テレビ局の周年パーティーで女優の服にワインがこぼれるトラブルが発生する。
慌てる周囲をよそに、ハルは持っていたマウスウォッシュでシミを落としてしまう。
実は事前にハルがウェーターをお金で取り込んでいる場面も描かれており、このトラブルそのものが計算の一部だったことが分かる。
その結果、芸能界の大物である皇興業の親玉へ近づくことに成功する。
目の前の出来事だけではなく、その先の展開まで読んで動いているハルの凄さが際立っていた。
ドラゴンバンクとの戦いが激化する
ゴッド・プロモーション株を担保に資金を調達するトリリオンゲーム社。
しかしその情報を得たドラゴンバンクはネガティブなレポートを大量に出させることで株価を急落させる。
株価が下がれば会社の命運にも関わる危険な状況だ。
この回で印象的だったのは蛇島の覚悟だった。
自分を切り捨てれば良いと提案するが、ガクたちは仲間だからできないと答える。
単なるビジネス漫画ではなく、人間関係もしっかり描いているのがトリリオンゲームの魅力だと思う。
そして最後には株価はV字回復するが、ゴッド・プロモーション株を担保に資金繰りをしている情報をドラゴンバンクへ流したのがハルだったことが明かされる。
危機からどんでん返しへ繋げる展開が見事だった。
ソシャゲの課金システムが妙にリアル
個人的に最も印象に残ったのが蛇島によるソシャゲ課金の解説だ。
無料ゲームにお金を使う人は全体のわずか2%。
その少数のユーザーに課金してもらうために、
- 魅力的なキャラクターを実装する
- 強力なキャラクターを用意する
- 期間限定ガチャやセールを行う
といった仕組みが存在する。
さらにプレイヤーの手持ちキャラに合わせて欲しくなるキャラを登場させるなど、ソシャゲ経験者なら思わず「あるある」と感じる内容ばかりだった。
ゲームを遊ぶ側ではなく、作る側の視点が描かれているのが面白い。
現実の知識が物語の面白さに繋がっている
5巻では証券担保ローンや株価、課金システム、景品表示法など現実に存在する仕組みが数多く登場する。
難しそうな内容にも見えるが、物語の中で分かりやすく説明されるので自然と読み進められる。
そして「本当にありそう」と思わせてくれるからこそ、物語への没入感も増していく。
トリリオンゲームの強みは、この現実感にあるのだと思う。
積み重ねた伏線が気持ち良く回収される
プチプチランドは売上50億円を突破し、ドラゴンバンクの新作ゲームを追い抜くほどの成功を収める。
その後、人材不足を補うためにドラゴンバンクから人材を引き抜こうという話になる。
ここで効いてくるのが、以前ガクがドラゴンバンクのサーバーへ侵入したエピソードだ。
何気なく読んでいたシーンが後になって重要な意味を持つ。
こうした伏線回収の上手さは、稲垣理一郎先生作品の大きな魅力だと改めて感じた。
5巻はソシャゲ編の集大成だった
プチプチランドは大成功を収め、投資家にも利益が還元される。
まさにソシャゲ編の集大成と言える結果だった。
一方で、ガクは高校時代に好きだった同級生と再会する。
しかし自分が好きだった頃とは変わってしまった姿にショックを受ける。
成功の喜びだけでは終わらない、少し切ない余韻を残しながら5巻は幕を閉じた。
ソシャゲ業界の裏側やビジネスの駆け引きが好きな人には特におすすめしたい一冊だった。


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