6巻を貫くキーワードは「ALL IN」
トリリオンゲーム6巻を読んでいて印象的だったのは、「ALL IN」という言葉が何度も登場することだった。
社員旅行の回のタイトルも「ALL IN」。
トリリオンTV開局のためにソシャゲ事業の利益を投入するのもALL IN。
そして登場人物たちもまた、それぞれの形でALL INしていく。
この巻はテレビ業界との戦いの始まりでもあるが、それ以上に「覚悟が伝染していく物語」として読むことができる。
ハルは最初からALL INしている
ハルという人間は昔から変わらない。
成功するかどうかではなく、面白いかどうかで動く。
損得よりも、自分がやりたいかどうかを優先する。
だから350億円という買収提案を前にしても態度は変わらない。
普通なら人生を変える金額だ。
しかしハルにとっては、自分の人生そのものが勝負の途中にある。
だから買収話を前にしても揺らがない。
6巻で描かれているALL INは、ハルにとって特別なことではない。
彼は最初からずっとALL INで生きている。
ガクにも覚悟が伝染する
一方でガクは違う。
現実を見て、リスクを考え、慎重に進む人間だ。
だからこそ350億円という金額には大きな意味がある。
それでも最終的にガクはハルの隣に立ち続ける。
社員旅行の回が印象的なのもそのためだ。
豪華な待遇。
圧倒的な資金力。
買収された先にある未来。
それらを見た上で、それでも挑戦する道を選ぶ。
この巻のガクは、自分で大きな夢を語るわけではない。
だがハルの描く未来に、自分の意思で賭けることを決める。
それはガクなりのALL INだった。
会社もまたALL INする
そして覚悟は個人だけでは終わらない。
会社そのものもALL INしていく。
トリリオンTVには莫大な予算が必要になる。
毎年100億円から200億円とも言われる世界だ。
普通なら慎重になる。
利益を確保しながら少しずつ成長を目指すはずだ。
しかしトリリオンゲーム社は違う。
プチプチランドで得た利益を投じて勝負に出る。
成功する保証はない。
それでも挑戦する。
登場人物たちの覚悟が、会社の経営判断にも表れているのである。
功刀が心を動かされた理由
巻末の報道編も同じ構造で描かれている。
最初の功刀は乗り気ではない。
トリリオンTVと組む理由もない。
しかしハルは諦めない。
ニュースの差し替えに必要だと言われればヘリを貸す。
利益になるかどうかではなく、本気でニュースを作ろうとしている。
その熱意が功刀を動かす。
特に印象的なのは四谷駅の倒木事故の取材だ。
倒木そのものではなく、緊急停車した電車から降りて歩く人々を撮影する。
そこで描かれているのは功刀の報道人としての実力だ。
そして同時に、その実力を発揮したくなる環境をハルたちが作ったということでもある。
功刀が心を動かされたのは条件ではない。
本気で勝負しようとする熱量だった。
あかりもまた惹きつけられていく
あかりも同じだ。
トリリオンTVに興味を持ち、自ら話を聞きに来る。
それは既存のテレビ局にはない何かを感じ取ったからだろう。
ハルはお金で人を集めているわけではない。
夢や理想を語っているわけでもない。
ただ本気で勝負している。
その姿勢が周囲の人間を惹きつけていく。
まとめ
トリリオンゲーム6巻は、テレビ業界との戦いが始まる巻である。
しかし物語の本質はそこだけではない。
この巻で描かれているのは、ALL INという覚悟が周囲へ伝染していく過程だ。
最初からALL INしているハル。
その覚悟に賭けることを決めたガク。
会社として勝負に出るトリリオンゲーム社。
そして心を動かされていく功刀やあかり。
6巻では様々な人物がハルの熱量に触れている。
だからこの巻は企業戦争の序章であると同時に、「覚悟が人を動かす物語」として読むことができるのである。

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