トリリオンゲーム 6巻 レビュー|350億円か、それとも世界一か

漫画レビュー

買収話から始まる6巻

トリリオンゲーム6巻は、ドラゴンバンクの社長・黒龍からの買収提案から始まる。

提示された金額は350億円。

これまで成功を積み重ねてきたトリリオンゲーム社にとって、十分すぎるほどの金額だ。

さらに黒龍は娘である桐姫との結婚まで持ちかける。

豪邸、莫大な資産、巨大企業の力。

この巻ではドラゴンバンクという存在がどれほど大きいのかが徹底的に描かれていた。

しかしハルはそんな提案にも動じない。

結婚の話には「もう結婚してるんですよ」とハッタリで返してしまう。

普通なら飲み込まれてしまうような相手に対しても、自分のペースを崩さないハルらしさが印象的だった。

ガクが選ぶための社員旅行

買収話はすぐには決着しない。

その間に描かれるのが社員旅行のエピソードだ。

ファーストクラス、豪華なホテル、カジノ。

まるで別世界のような体験が次々と用意される。

単なるご褒美回にも見えるが、この旅行には意味があった。

ドラゴンバンクの持つ圧倒的な金の力を見た上で、それでも買収を断るのか。

ハルはガク自身に選ばせようとしていた。

作中では明言されないが、このエピソードには2人の友情が詰まっている。

ハルはガクの人生を勝手に決めない。

だからこそ最後の決断はガク自身に委ねたのだろう。

「ALL IN」に込められた覚悟

そしてガクは決断する。

買収は断る。

それどころか「ドラゴンバンクを買収する」と宣言してしまう。

普通に考えれば無謀な話だ。だがトリリオンゲームという作品は、常に無謀を現実に変えてきた。

この巻では「ALL IN(全賭け)」という言葉が何度も登場する。

トリリオンTVの立ち上げにソシャゲ事業の利益を全投入。

皇興業の会長からの無茶振りにもハッタリで応えるガク。

ここまで慎重派だったガクも、ついに腹を括った。

6巻はハルだけではなく、ガクがオールインする物語でもあった。

トリリオンTV VS D-REX

ドラゴンバンクはアメリカの大手配信サービスD-REXジャパンを掌握する。

その新社長となったのは桐姫。

一方のトリリオンゲーム社はトリリオンTVを開局する。

ここから始まるのはテレビと配信を巡る巨大な戦争だ。

桐姫は地上波テレビ局の株式を取得し、業界そのものを取り込んでいく。

まさに資本の力による攻略。

一方のハルたちは正面から資金力で勝負するのではなく、報道という突破口を見つけ出す。

同じ頂点を目指していても、進み方はまったく違う。

桐姫とハルの戦いは、単なる企業戦争ではなく価値観の戦いにも見えた。

功刀とあかりが見せた報道の力

巻末で描かれる報道編も非常に面白い。

トリリオンTVが声をかけたのは、唯一D-REXからの買収話の対象にならなかった東京瓦テレビ。

そこで登場するのが白虎あかりと功刀くぬぎだ。

特に印象的だったのは四谷駅の倒木事故のニュース。

普通なら倒木そのものを撮影するところだが、功刀は違った。

緊急停車した電車から降りて歩く人々を撮影したのだ。

その結果、他局にはない独自映像を獲得することに成功する。

この場面は「何を撮るか」ではなく、「何を見るか」が報道の価値なのだと教えてくれる。

そして功刀の実力と、ハルの熱意が結びついた瞬間でもあった。

まとめ

トリリオンゲーム6巻は、巨大企業との買収劇から始まり、テレビ業界を巻き込んだ新たな戦いへと進む巻だった。

その中心にあるのは「ALL IN」という言葉。

ハルもガクも、そして桐姫も。

それぞれが自分の信じる未来に全てを賭けている。

特に印象的だったのはガクの変化だ。

これまで慎重だった彼が、自ら世界一を目指す覚悟を決めた。

6巻はトリリオンゲーム社の成長だけではなく、ガクという人間の成長を感じられる一冊だった。

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