『呪術廻戦≡(モジュロ)』1巻を読んで最初に感じたのは、
「めちゃくちゃ難しい。でも妙に面白い」
という感覚でした。
設定も用語も展開もかなり複雑。 少し読み飛ばすだけで置いていかれる。
それなのに、“よく分からないまま読ませる力”がある。
本作は単なるスピンオフではなく、『呪術廻戦』という作品が持っていた 「理解しきれない不気味さ」 「理屈と感情の混線」 をそのまま受け継いでいる作品だと思います。
2086年の近未来という舞台設定
物語の舞台は2086年。
主人公はシムリア星人のマルル・ヴァル・ヴル・イェルヴリ、 通称マル。
いきなり宇宙人が出てくる時点でかなり大胆ですが、 本作はその設定を“SF”として整理するより先に、 呪術廻戦的な空気感へ読者を引き込んできます。
「これは何なんだ?」 と思っているうちに話が進み、 気付けば雰囲気で飲み込まれている。
この読書感覚はかなり独特でした。
「分からない」のに読めてしまう不思議
本作を読んでいて何度も感じたのが、
「読んでいても分からないし、 呪術廻戦を読んでいたら分かるのかも分からない」
という感覚です。
設定説明はある。 でも説明されたからといって理解出来るわけではない。
特にマルとクロスの入れ替わり描写は象徴的でした。
絆創膏と髪留めを借りる2コマだけで入れ替わりを表現しているため、 そこを読み飛ばすと何が起きたのか分からなくなる。
しかし、この“不親切さ”こそが 『呪術廻戦』らしいセンスでもあります。
全部を説明しないからこそ、 世界が広く感じる。
少年漫画としての熱さもちゃんとある
難解な作品ですが、 少年漫画としての王道要素もしっかり入っています。
特に印象的だったのは、 マルが真剣に秘密を打ち明けるシーン。
双子の弟クロスと術式を共有しており、 危険だから使用を制限されている。
その秘密を話した理由が、
「真剣と仲良くしたいから」
というのが良かった。
世界観は複雑でも、 キャラクターの感情は真っ直ぐです。
だから読者は置いていかれながらも、 キャラクターには付いていける。
ホラーと暴走が混ざる第4〜6話
第4話以降はホラー色が強くなります。
毎年1年生を繰り返す小学生。 その正体は高齢の呪詛師。
不気味さの演出がかなり上手い。
そして第6話、 倒されたと思われたマルが覚醒。
ここから一気に作品の空気が変わります。
高齢の呪詛師が 「人生唯一命がけの敗走」 を思い出すほどの暴力性。
さらに戦闘中にシャトルラン音声を使う演出が異様に呪術廻戦っぽい。
意味不明なのにセンスだけは伝わる。
この感覚がたまらない作品でした。
『呪術廻戦≡』が描いているもの
第7話で明かされる憂花の余命半年という設定も、 驚くほどサラッと描かれます。
しかし彼女の
「人を憎むのも、人から奪うのも簡単」 「それを自分達で終わりにしたい」
という言葉によって、 本作が単なる能力バトルではない事が分かります。
近未来という舞台設定にも意味がある。
争いを止める為に、 子供達が利用される世界。
それでも人間と分かり合おうとするマル。
『呪術廻戦≡』は、 呪いそのものよりも “繰り返される対立” を描いている作品なのかもしれません。
まとめ
『呪術廻戦≡(モジュロ)』1巻は、 決して読みやすい作品ではありません。
むしろかなり難しい。
ですが、 その「分からなさ」ごと 『呪術廻戦』の魅力を継承している作品でした。
理解出来ない。
でも気になる。
そんな読書体験を味わえる、 かなり独特な1冊です。


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