『トリリオンゲーム』のハルはなぜ人を騙せるのか|3巻人物分析

キャラ考察

『トリリオンゲーム』3巻を読んでいて、 改めて思った。

ハルは怖い。

しかも、 暴力的だから怖いのではない。

「人が信じたくなる空気」を作るのが上手すぎる。

3巻最大の事件である、 “世界の堀本”騒動。

あれは単なる経歴詐称ではない。

  • 画像を用意し
  • SNSを捏造し
  • 業界人の空気を作り
  • 投資家の期待を煽る

ことで、 「実在しているように見える世界」 そのものを完成させていた。

つまりハルは、 嘘をついているのではない。

“現実”を作っている。

本記事では、 『トリリオンゲーム』3巻を中心に、 ハルという男の危険性を分析していきたい。

ハルは「情報」ではなく「空気」を作る

普通の詐欺師は、 情報を偽装する。

だがハルは違う。

彼が作っているのは、 「みんなが信じている空気」だ。

世界の堀本はその象徴だった。

実在しない人物なのに、

  • それっぽい画像
  • 関係者らしいSNS
  • 業界内の期待感
  • 説明会の熱量

を積み重ねることで、 「本当に存在しているように見える状況」 を完成させる。

人は、 証拠で信じているようで、 実際には“空気”で信じている。

みんなが本物だと思っているから、 自分も本物だと思う。

ハルはそこを理解している。

だから怖い。

ハルは「嘘が上手い」のではない

面白いのは、 ハルが単純なペテン師ではないことだ。

もし彼が、 口だけの男なら、 ここまで魅力的には見えない。

実際3巻では、 ゲーム会社を探して、

  • 任天堂
  • ソニー
  • ドラゴンバンク

などに断られながらも、 地道に営業を続けている。

ハルは派手に見える。

だがその裏で、 異常な行動量がある。

しかも、 断られても止まらない。

だから読者は、 「こいつ絶対ヤバい」 と思いながらも、 どこか成功を信じてしまう。

ハルは、 “努力している詐欺師” なのだ。

そこが厄介なのである。

ハルは「人の欲望」を読むのが上手い

3巻では、 ヨリヌキにAR機能を追加する場面も印象的だった。

スマホ越しに、 豪華な花を実際に置いたイメージが見える。

これによって客は、 「せっかくだしもっと豪華にしよう」 という気持ちになる。

つまりハルは、 技術そのものではなく、 “人間がどう気持ち良くなるか” を考えている。

世界の堀本も同じだ。

投資家は、 「次の大ヒットゲームに乗りたい」 という欲望を持っている。

だから、 伝説のクリエイターという夢を見せる。

ハルは常に、 人間の欲望を利用している。

だから強い。

それでもハルに惹かれてしまう理由

本来なら、 ハルはかなり危険人物だ。

  • 経歴詐称
  • SNS捏造
  • 脅迫まがいの買収

やっていることだけ見ると、 ほぼアウトである。

それでも読者は、 不思議とハルを嫌いになれない。

その理由は、 ハルが「自分の欲望だけ」で動いていないからだと思う。

彼は、 ガクを成功させたい。

仲間を勝たせたい。

その気持ちが本物だから、 読者はギリギリ踏みとどまれる。

もしハルが、 金だけを目的にしていたら、 ここまで魅力的にはならなかっただろう。

まとめ

『トリリオンゲーム』3巻のハルは、 完全に“危険な男”だった。

だが彼は、 単なる嘘つきではない。

  • 人の欲望を理解し
  • 空気を作り現実
  • そのものを演出する

ことで、 周囲を動かしている。

そして何より怖いのは、 その才能が本物だということだ。

ハルは、 「人を騙す天才」ではない。

“人が信じたくなる世界”を作る天才なのである。

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