ストーリーはほとんど覚えていないのに、なぜか忘れられないシーンがある。
私の場合は、漫画『ライフ』のある場面だ。
前後の流れは思い出せない。
ただ、マナが走行中の車内から公園を見て、砂場で遊んでいる子どもに目を留める。
そしてわざわざ車を停めさせ、降りたかと思えば、その子どもが作った大きな砂山を、手ではなく“全身で”崩す。

画像はイメージだが、実際のシーンはもっと派手に崩していた。
理由は確か、苛立ちだったと思う。
でも、見ず知らずの子どもが作った山を、あそこまでの勢いで壊す必要があるのか。
その異様さに、ただ呆然としたのを覚えている。
こうして思い出してみると、なぜか印象に残っているのはいつも、すえのぶけいこ先生の作品だ。
『おちたらおわり』でも似たような感覚があった。
キャンプの回で、不倫している夫を確かめるためにキャンピングカーを覗くシーン。
そのときのポーズが、どうしても頭から離れない。
後部の予備タイヤにまたがるようにして、体を車に密着させ、両手を上げて左右対称に覗き込む。
正直、内容よりも「なんでそんなポーズ?」という違和感の方が強く残っている。

画像はイメージです。
重たいテーマを扱っているはずなのに、ふとした瞬間に緊張がほどける。
その“ズレ”が、記憶に引っかかるのかもしれない。
物語の流れは忘れてしまっても、こういう理解しきれない一瞬だけはなぜかずっと残り続ける。


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